「マナーは堅苦しいから苦手」「マナーを間違えると恥ずかしい」という言葉をよく耳にしますが、そもそも「マナー」とは何かご存じですか?「ルール」と混同している方も多いと思いますので、比較しながら見ていきましょう。
①「ルール」:明文化された「規則」。守らなければ罰則がある。(「交通ルール」や「サッカーのルール」など)
②「マナー」:相手を大切に思う”気持ち”を形式化したもの、「礼儀作法」。守らなくても罰則はなく、自発的に守るもの。(「ビジネスマナー」や「テーブルマナー」など)
つまりビジネスマナーとは、ビジネスにおける相手への『思いやり』なのです。相手を不愉快にさせないという防御的な意味合いだけでなく、「あなたと良い関係をつくっていきたいです」という意思表示にもなります。社会人が働くうえで何かと議題に挙がるビジネスマナーですが、なぜここまで重要視されているのでしょうか?仕事で成果を挙げていれば細かいマナーは気にする必要はないという考え方もありますが、果たして本当にそうなのでしょうか?
ビジネスの場で信頼関係を構築するため
ビジネスの世界は、年齢・性別・経験・価値観の異なる人たちで構成されています。様々な人たちが共通して持てる一つの指標が「ビジネスマナー」です。目を合わせて挨拶ができない、言葉の使い方がおかしい、名刺交換の仕方も知らない…そんな「ビジネスマナーの基本」を身につけていない人は信頼できない、と考える人が世の中にはたくさんいます。
組織のイメージを左右するため
例えばあなたがある会社に初めて訪問し、受付でとまどっている時に通りがかった従業員があなたの様子に気づいても、ちらっと視線を投げかけるのみで挨拶もしなかったとします。あなたは内心「なに、この会社。感じが悪い。」とその従業員だけではなく、会社そのものに対して不快感を抱くのではないでしょうか。反対にその従業員があなたの様子に気づくと、直ぐに明るい笑顔で挨拶「お伺いしていますか?」と親切に問いかけ的確に取り次いでくれた場合、あなたは「この会社、感じがいいな。」と会社そのものに対して好感を持つでしょう。これは来客対応だけでなく、電話対応やメール対応にも当てはまります。お客さまから見ると「対応した従業員ひとり、ひとりが組織の代表」。たった一人の従業員が組織全体の印象を左右することもあるのです。
顧客満足のため
顧客満足には「物的要素」と「人的要素」の2つの要素が必要です。「物的要素」とは商品の質が良い・種類が豊富・店舗が駅に近いなど。それに対して「人的要素」とは人がすること、具体的には従業員の商品知識が豊富、笑顔で感じよく応対してくれる、などです。物があふれ、インターネットを利用してたいていの物が手に入る現代では「人的要素」を重視される方が多いといわれています。もちろん物的要素も大切です。人の価値観は様々ですし、商品やサービスによって多少の違いもあるでしょう。ですが「どうせなら感じのいい人から買いたい、感じのいい人とビジネスをしたい」という人が多いのです。
「ビジネスマナー」さえ身につけていれば契約が取れる、出世ができるということはありません。でも仕事はできるが身だしなみが悪い、提案の中身はいいが言葉遣いが悪い…など、相手にどんな印象を与えるかを見直してみましょう。「相手を敬う」「相手を思いやる」「相手に感謝する」という3つの心構えが重要です。