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建物の各検査について

今回は、建築工事の工程における検査関係のお話です。

現場監督の建築工事における主たる業務が、工程に基づいて行われる各検査に合格することです。言い換えれば、各検査に全てに合格していない建物は未完成な状態であり、検査の指摘事項が有れば是正を完全に行い合格することが建物完成の基準だとも言えます。これは日本中全ての建築物において、同一の考え方であります。中でも法的な義務としての検査が、確認検査機関による中間検査と完了検査です。

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中間検査は、阪神・淡路大震災で多くの建築物が倒壊したことを鑑みて、建築物の安全性の確保のために1999年(平成11年)に導入された法的制度です。従来の建物完成時における完了検査だけでなく、完了検査時には見えなくなる軸組等の構造部分が建築基準関係規定に適合するように工事施工中での検査を実施するものです。そのタイミングは特定工事の完了時で、特定工事とは木造住宅において屋根の小屋組の工事(耐力壁及び壁の筋交い、接合金物が目視できる工程)です。合格すると中間検査済証が発行されます。

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構造上主要な部分というのは、実際は壁や天井の中に隠れてしまう部分がほとんどで、完成すると大抵見えなくなります。あらゆる建築は、その構造に支えられています。柱や梁などの構造が、台風や地震といった自然災害から建物の倒壊や破損を防ぎ、そこで暮らす人々を守るのです。当社も構造こそが建築において最重要であると認識しています。

完了検査は建物完成時における検査です。工事完了後に建築確認を受けた図面の通り施工されているか、建築基準規定に適合しているかを確認します。合格すると検査済証が発行されます。この検査済証は建築主にとって大変重要な書類です。検査済証が発行されるまで、法的にその建物を使用することはできません。そして検査済証が無いと、ほとんどの金融機関で住宅ローンが受けられません。またその物件を売却する際は、その建物が違法建築である可能性を買主に懸念され、売却価格が下がったり、断られる場合が発生します。

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現代日本で建築される建物においては、中間検査と完了検査に合格することは法的な義務であり、中間検査済証と検査済証の無い建物はその存在価値が無いに等しいとも言えます。また、当社では2009年(平成21年)に制定された住宅瑕疵担保履行法に基づき、住宅瑕疵担保責任法人による10年間の瑕疵担保責任保険も全棟で付保しています。それに係る検査が、基礎の鉄筋が組みあがった時に行われる基礎配筋検査と、軸組等の構造部分の躯体検査です。基礎配筋検査は鉄筋の太さや間隔が保険機関の設計基準に適合しているか、躯体検査は中間検査と同じ内容で構造部分が建築基準関係規定を遵守しているかを確認します。

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2005年(平成17年)に姉歯建築士による構造計算書偽装多大なる被害を当該物件の住民に与え、そして国民全体に大きな不安をもたらしました。この事件の時にそのマンションを販売した売主の不動産業者も、施工を請け負った建築会社も倒産し、住民の方々が建て替える費用も出ないことになり大変な社会問題になりました。これを鑑みて、売主または請負人が倒産等により瑕疵の修補を履行できなくなった場合でも、保険金の支払い、又は保険金の還付により必要な費用が支払われることを義務化するために、この住宅瑕疵担保履行法が制定されました。

当社の建物は、確認検査機関による中間検査・完了検査と住宅瑕疵担保責任法人による基礎配筋検査・躯体検査という第三者による検査を建築工事中に4回受けて、全ての建物で全く問題なく合格しています。自社の大工や協力業者はそれらを確実にクリアーできる技術と知識を全員が保有しており、現場監督も検査前に自分の目で不具合無き事を確認したうえで検査を受けるからこそ、これらの検査を難なく合格しているのです。